税金の優先順位(立川市議会一般質問)

ご覧くださりありがとうございます。
(東京都)立川市議会議員 伊藤大輔です。

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・補正予算 エスカレーター設置に7,000万円(約計2億円)
・税金の優先順位
・不明瞭な費用対効果
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もし、あなたが育ち盛りの子ども達と高齢の両親を持つ家庭の親とします。
・来月の給料が半分に減ることが分かった
・家のローン(や家賃)が残っている
・保険料、学費、その他生活費は変わらずかかる
・両親が体調を崩し始めており、介護も考えなくてはいけない
という状況と仮定して、あなたは限られた貯蓄を「家族の生活」と「カッコイイ車のタイヤホイール」のどちらに優先しますか?

■コロナに紛れて…
9月議会、補正予算の審議がありました。中身の殆どはコロナ対策の緊急措置に関わるものです。ひとり親家庭、介護施設への支援など一日も早く届けなければなりません。
その中で一つ「立川駅北口エスカレーター設置 7,000万円(別途、債務負担行為で1億2千万円)」という項目が。
立川をご存じない方には分かりづらいですが、JR立川駅北口に新たにできたグリーンスプリングスやIKEAへ向かう途中にファミレスの前へ降りていく階段があるのですが、そこへエスカレーターを設置する、というものです。

■地に足つけて考える
実はこの話、以前からありました。
市は、これまでこの場所にエスカレーターを作る理由を「ユニバーサルデザインのまちづくり」「高齢社会への対応」「回遊性」の3つとしていました。グリーンスプリングスができることや近隣での大型イベントへの来場者対応も理由の一つでした。
3つの理由は否定するものではありません。しかし、たった一機のエスカレーターによって実現することとは到底思いませんし、そもそも大型イベントはコロナ禍の影響で今のところ全て中止か延期ですから今直ぐに来場者の導線を心配する必要はありません。更には「回遊性」や「来街者対策」と言っている市は、実地調査(通行人数など)は行っておらず「これからも行わない」と明言しています…つまり「来街者が増えた感じがするね」としか証明のしようがありません。

ついでに言うと、エスカレーターに賛成する議員からは「アフターコロナの経済活動も必要」との意見。確かに経済対策は必要です。ではここのエスカレーターが経済活動にどういう影響があるのか?恐らく設置業者は市内の会社ではないでしょうし、ここにエスカレーターが無いと生活できない人は居らず、経営できない会社も恐らくありません。
車のタイヤが外れたなら直さないと仕方ない。でも、来月収入が半減するときに「こっちの方がカッコイイから」と何万円もするタイヤホイールを買ってきた親父がいたら「おい!」ってなるでしょう…

■優先順位
言うまでもなく、優先順位の問題です。先述の通り、エスカレーター自体を否定しているのではなく、今優先すべきことは何かという問題です。この不景気は今後しばらく続くことが予想され、しかも来年度はおよそ13億円の減収を見込んでいる時に、誰の生命にも経営にも直接影響のないものに計2億円もの税金をかける妥当性はどこにもありません。

最後に、私は最終的にこの議案に「賛成」しました。エスカレーターを除けば、速やかに執行しなればならないものばかりだったからです。採決時に行った討論全文を載せておきます。

■立川市議会ホームページ
ご興味のある方は立川市議会のHPから議事録(9/10本会議)をご覧ください。
 https://www.city.tachikawa.lg.jp/gikaijimukyoku/shise/shigikai/index.html

本会議での討論全文
『内閣府が今月8日発表した今年4~6月期のGDP改定値は、8月に発表した速報値から下方修正となり、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で年率換算で28.1%減少。新型コロナウイルスの感染拡大で、リーマン・ショック後の2009年の同時期の年率17.8%減を超え、1955年以降で最大の落ち込みとなりました。過日の本会議においても、市長、財務部長からも、来年度の財政収支の見通しについては「厳しい予算編成になる」「大幅な減収」「場合によっては起債、財調の取り崩しも考えなくてはならない」といった説明があった通り、来年度の税収見通しは相当厳しくなることが予想されます。既に、市内事業者における倒産件数、負債総額からみても、今、行政が最優先で手をうつべきことがエスカレーターの設置なのでしょうか。
市は、当時予定していた新たな商業施設への人の流れについても数量的な調査は行っておらず、今後も調査は行わないということですので実態が分かりません。新しい生活による影響がどう出てくるのかという実態を把握してからでも決して遅いことはないと思います。
コロナ感染症の甚大な影響が出ている今、支出すべき対象は、会社や雇用の維持に必死になっている経営者であり、日々の生活に困窮している市民であるはずです。
一方で、本補正予算には、緊急を要する多くの事項が組み込まれていることから、1項目によって全てを否定することは避けなければなりません。よって、本補正予算には賛成をしますが、北口エスカレーター設置については現下の社会状況を踏まえ、優先順位を明確にし、拙速に始めることのないよう強く申し上げ、討論とします。』