1947年の帝国議会の議事録 政府委員 文部事務官 日高第四郎 6・3制の義務教育の議論をしている際の答弁
[038/038] 92議会 – 衆議員 – 教育基本法案委… – 5 号(回) 昭和22年03月19日 日高第四郎
○日高政府委員 化學教育等に對して相當な施設が必要であることは、私どもも全くその通りに存じておりますので、試驗管もフラスコも、あるいは電氣もガスもない所でもつて、いい化學教育ができるとは考えられません。これらの點において、非常に現在の日本の教育内容というものが貧弱であるということは、殘念ながら認めなければならない次第でありますが、そういう化學的施設というものの一歩前の、たとえば机であるとか、黒板であるとかチョークというようなものまでも、殘念なことでありますけれども、不自由をしておるような状態でありまして、紙も、極端に申しますれば教科書も十分配給できるかどうかわからないような状態にありますので私どもといたしましては、配給その他の機構につきましても、できるだけ教育に向けるものについては、政府もあるいは民間のものも、一般にそれに尊重の念をもつて優先的に配給してもらうように努力いたしたいと思つております。敗戰の結果ではありますけれども、今日の日本を復興させるものは、現在戰爭にも責任のある私どもの力というよりは、何も知らなかつたこれから來る若い人たちの力によつて、日本は再びこの情ない状態を――失禮いたしました――盛り返さなければならないと思つております。これについては、私どもとしては教育に唯一の望みをかけておりますので、萬難を排して、私どものあとから來る者のために、喜んで踏み臺になつていきたいと思つております。その邊實に情ない状態であることは、私どもも十分承知いたしておりますが、少しでもあとから來る者が勢よく伸び上つて、そうして日本を昔の、あるいはそれ以上のいい國家に仕立て上げるようにいたしたいと思つておりますが、どうぞ今後とも、私どももむろんいたしますけれども、議員の皆さんも、御鞭撻いただきたいと思います。