ポイント*
・子育て支援のワンストップ化を
・役所の窓口で実際に起きたこと、そこから見えてきたこと
・「こども庁」。実際にやるには市町村の覚悟が必要
コロナ禍による社会、仕事、生活の影響は、特に立場の弱い子どもや女性に向かっていると言われています。これまで、特に市役所に用のなかった方でも、様々な申請や相談などで市役所へ訪れる機会が増えた方もいるのではないでしょうか。
出産、引っ越し、離婚、子どもの進学などが重なれば尚の事です。
先日、あるひとり親のママさんから生活やお子さんのことでご相談を受け、市役所の子育て担当の窓口へご一緒しました。
色々と手続きを進めて行く中で「上の子の進学準備のため、下の子を見てくれる支援制度(家事支援)があれば」との話を受け『ファミリーサポートセンター事業』を紹介しました。そこで担当課の職員さんへ「ここで申し込みはできるんですか?」と伺うと、市役所から車で10分、自転車で15分ほど先にある「立川こども未来センター(以下、未来センター)」に行かなければできないことを告げられました。担当課が違うことは分かっていたので「では資料だけでもいただけますか」と言うと「ココ(窓口)にはない」との回答。
子育ての窓口で納税の相談をしているなら分かりますが、ココは「子育てと家庭、保護者のニーズに応える窓口」です。担当課が違うから資料も受け取れないとは…
お連れしたママはパートを終えて保育園に下の子を迎えに行くまでの1時間半ほどの合間に自転車でせっせとやってきました。保育園のお迎えがあるため、資料を取りに往復30分かけることは不可能です。
この日は仕方なく他の手続きを終えて別れました。
別れた後、起きたことを考えました。
そこで見えてきたことは、「聞かれてないから、答えない」のが現状であり、「こういうサービスも使えるんじゃない?」と、こちら側から提案できる環境の欠如です。
A) 担当課が違うのだから仕方ない。別の日に資料を取りに行けばいいじゃないか。
B) 最終手続きまでは出来ずとも、せめて資料と説明くらい出来れば良いのではないか。
私は迷わずBを選択しました。
職員さんは皆さん一所懸命に職務を全うしており何ら瑕疵はありません。
【制度の問題】なのです。
この件を予算委員会で取り上げました。
結果、市役所でも未来センターでも取り扱えるよう改善していくことになりました。
さて、政府は「こども庁」なるものの創設を進めています。行政の縦割りを無くして、こどもに関することを横断的に一元化(ワンストップ化)することを目指すというもの。大歓迎です。ただし、国の省庁が一つになったから解決すると思ったら大間違い。
やるのは現場である市町村です。
大切なことは、「この人は何に困っているのか」「解決するために不足しているものは何か」「不足を補うために使えそうな制度・サービスは何があるか」を行政側が想像して、その上で「制度・サービスのメニューと使い方(申請方法等)を伝える」力を持つことです。
国の指令室が一つになっても、市町村レベルで担当課や窓口が別であることが理由になっているようでは何も変わりません。
現在、同じ想いを持ってくださっている市職員さんのお力を借りて、立川市の子どもに関わる事業について「市役所で申請できるけど、未来センターでは出来ない事業(その逆も)」を調査しています。
真の子育てワンストップ化は市町村から。安心して子育てできる立川になるために、必ず実現させます。