だいすけ日記

- Daisuke’s diary -

人種差別と格差

皆さんは人種差別を経験したことはありますか?
アメリカで起きた警察官による行き過ぎた拘束で黒人男性が死亡した事件を発端に、世界中でデモが起きています。私が住んでいたニュージーランドでもデモが起きている様子がニュースで流れていました。
テレビなどの報道でしか内容が分からないので、警官にどういう意図があったのか断言はできませんが、これまでの類似事件を見れば、アメリカ社会が抱える差別という大きな問題であったのだろうと容易に推測できます。

私は差別を<受けた側>として体験してきました。
かつて住んでいたニュージーランドで、買い物に出かけた帰り道、数人に囲まれ「国に帰れ!」「ここはお前の住むところじゃない!」と言われながら彼らが持っていた飲み物をかけられる。受付で並んでいても、後ろにいた白人に平気で順番を抜かされる。アジア人(正確には白人でない)というだけで、口もきいたことが無い人から差別を受けるというもの。人格否定どころか、存在さえ認められないというのはなかなか辛いもので、自分の努力ではどうにも解決できないだけに、心が荒んでいくという言葉がぴったりな心境でした。

今回の事件で、被害者の弟さんが事件現場でマイクを持ち聴衆に対し「自分の怒りはみんなの倍以上だ。でも問題の解決の仕方は他にもある。暴力はやめて平和的に行動してほしい。」と仰っていたことが印象的でした。もし自分の身内が人種差別によって殺されたら、きっと犯人を、そして差別を取り巻く社会を恨んでしまうのではないか、と考えてしまいます。しかし彼は違いました。とてつもない勇気であり、強さだと思います。

差別によるもう一つの問題は格差です。生活、仕事・収入、医療・福祉、教育においても、人種によって格差が生まれているのが世界の現実です。それはニュージーランドでもありました。
収入によって住む地域が分かれる。低所得層が住む地域は固定化され、「治安が悪い」地域となり人々が近寄らず経済も停滞します。よって治安は改善せず、就業率も上がらず、学校にも通えていない子どもたちも存在します。一括りにはできませんが、確率として明らかに差別を受ける側の環境と格差には大きな関連性があると言えます。

日本にも差別はあります。そして、残念ながらこの先も人の心から差別を完全に無くすのは難しいと思っています。
しかし自分と違うことを理解しようとする心、理解はできなくても受け入れようとする心を一人でも多くの人が持てる社会になれば、必ず世界は変わります。そのためには、差別を受けている側にも、希望と信頼を取り戻すことができる社会づくりが必要です。

それには「教育」しかありません。
子どもの時から「違うことは当たり前」という社会で育てる。生まれた家庭が裕福でなくても自分にやる気があれば学ぶチャンスがある。「諦めなくていいんだ」、そう思えたら、きっと差別による悲しい事件はなくなるのではないかと、人種差別を受けた当事者として信じています。
そして、それこそが政治の役割であるはずです。

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