ポイント*
・母子、父子家庭への就業支援制度を使い易くするために→利用者倍増!
・学校で子どもが怪我。保険適用のハードルが高過ぎる→初(?)の利用者
・「できるかどうか」から「どうやったらできるか」への転換
■やり方が変われば結果が変わる!
開会中の今議会で判明したこと2つ。いずれも、過去に議会で取り上げた課題です。
1つは、ひとり親家庭就業等支援。母子、父子家庭などひとり親家庭の親御さんの自立を支援するために国家資格の勉強などを財政的に支援する制度。2年前、この制度の対象者が2,466人いるにも関わらず、実際の利用者が年間10人程度しかいない現状を知り、制度のハードルの高さや利用しにくい状況の改善を提起しました。そして、改めて現在の利用人数実績を見ると、およそ倍にまで増えていることが判明。それでも母数に対してまだまだ改善が必要ですが、少しですが確実にこの制度で救われるかもしれない家庭が増えたことは喜ばしいことです。増えた要因としては、PRに力を入れた点や児童扶養手当の手続きの際に案内するようにしたことなどが主な要因です。
2つ目は、市が入っている怪我に対する保険について。学校の授業などで怪我をすると市が加入している保険が適用され、基本的に医療費はカバーされます。しかし病院と自宅の往復にも費用がかかりますし、子どもですから松葉づえなどにでもなれば、登下校時の交通手段も考えなくてはならず、医療費以外の経費も大きな負担になります。
過去の保険適用実績を見ると、年間400件以上の怪我発生に対し、医療費以外(交通費や入院、通院に関わる経費)で保険からカバーされた実績がゼロであることが分かりました(1件のみ、野球のボールが近所の方の家屋を破損し、それに対しての修理代として利用実績あり)。理由は、教育委員会内で子供たちの怪我の状況が把握されていなかったことや、市の保険基準の課題など、ここでは書き切れない問題があることが分かりました。これまで約2年間に渡り議会の場でこの点を指摘してきました。
結果、昨年度は医療費以外の保険適用件数が「6件」となりました。そもそも怪我をゼロにしなくてはなりませんが、それはなかなか難しいので、発生してしまったときにしっかりとしたサポートできる体制と準備が必要です。これも一つ前進した事例です。
■「できるか できないか」「やるか やらないか」
これら2つの共通点は、お金もかけず、制度も変えずとも「どうすれば制度を必要としている人に届くか」を考えることで結果が変わった、という点です。
議員の仕事とは、制度の齟齬を修正し、利用できるようにすることで、全体益を上げていくことです。これを繰り返し議論するのが議会という場なのですが、何十年も続けてきた上に自分達で作ったルールをそう簡単に否定される訳にはいかないのが行政側の思いです。そこで、議会と行政の議論があるわけですが、議員側に大切なことは批判より共感してもらうための努力をすること。そして行政側には今あるルールに照らしてどうか、ではなく、どうやったらできるか、という視点をもっていただきたい、ということです。
先述の2つの事例はどちらもそれまでのルールでは「誰も間違えていない」のです。でも市民生活の現実社会に照らせば「間違えてないけど、もっと良くできる」のです。今回は後者の判断に共感してもらうことができました。
我々議員は、「できるか どうか」ではなく常に「やるか やらないか」の視点を忘れるべきではないと肝に銘じています。