平成20年にはじまった「ふるさと納税」。
地方を元気にしようという制度の主旨には賛同しています。ですので、昨今の過剰な返礼品競争の問題などを耳にすると残念でなりません。
立川市もふるさと納税を受け付けています。
納税者への返礼品には、鉄板焼き、地元野菜、お菓子詰め合わせ、スポーツチームのグッズ、今年は競輪グランプリの前夜祭招待状もありました。
で、結果はというと、この10年間で約6億円の赤字です。年間6,000万円の赤字が10年続いているということです。
この制度、立川のような地方交付税の不交付団体には不利な制度であると言えます。こうした制度上の問題があるのは確かです。
しかし、だからと言って「しょうがないよね」で済ませる訳にはいきません。
現状、市は「魅力ある返礼品を開発する」こと以外は、特段新たな取り組みは行っていないとの答弁。返礼品開発も大切ですが、10年を経て一定の結論は出ていると考えられます。
そこで、「返礼品競争から脱却し、返礼品なしのふるさと納税」の導入を議会で提案しました。
具体的には、「おもいやり型ふるさと納税」「社会貢献型ふるさと納税」などと呼ばれる比較的新しい形の制度です。
例えば、NPOや自治体が行う活動に対して納税をしてもらう。難病を抱える子ども達への施策に寄付を募る。こども食堂の運営を応援してもらう。など、いわゆるクラウドファンディングに近い考え方で、こうした取り組みは既にほかの自治体で始まっています。
これをすれば先の6億円が穴埋めできるか、と言えば、それは難しいでしょう。しかし次のようなメリットが考えられます。
1、品物ではなく社会貢献を望む方々の思いを受けることができる。
2、NPOや団体の活動が活発になる。
3、市が補助金を出している事業が対象になれば、補助金を他の制度に活用できる。
4、市のPRに繋がる。
こうしたことが積み重なることで、市の活性化に繋がることが期待できます。
残念ながら、市から明快な回答を得ることはできませんでした。なぜなら、現在、市では具体的な事業に対する寄付は原則受け付けていません。理由は「一般の寄附で受けられるから(ふるさと納税でやる必要がない)」です。
先日の台風発生後、ある市内企業の方から「会社で募金を集めたので市内で発生した台風被害復旧の為に使って欲しい」とありがたいお申し出をいただきました。そのことを市へ伝えると「既に復旧のための補正予算を組んでしまったので、寄付を充てることができない」という回答。一般寄附でできる、と言っていたのに何かおかしくないか!?
今あるルールを遂行することも大切。自分達がやってきたことを変えることが大変なのも分かります。
しかし、市民にとって一番良いことかどうかは別問題です。
引き続き、取り組んでいきます。